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  黒谷全男(くろたにまさお)さん、ログキッチン「ヴァレ・ノアール」・串本町津荷
・田舎へ帰ってログハウスを建て、そして、ログハウスを使った喫茶店の開業を…と思い立ち、大手通信事業会社を退職し、長い準備期間を経て串本町津荷でログキッチン「ヴァレ・ノアール」を開店… (編集者記) 
 ◆プロフィール 
・1957年大阪で生まれる。父親の仕事の関係で小中高は兵庫県姫路市で暮らす。進学し京都の大学で工学部電気工学を専攻。
・大学卒業後、通信事業会社へ就職。システム開発の担当にて札幌、東京、磐田、名古屋、大阪、松山と各地で勤務。20年勤めた後、早期退職。
・ログハウスの喫茶店をやるべく、東京の喫茶・経営学校(各種学校)へ4ヶ月通う。学校卒業後、串本にて料理教室へ通ったり、レストランでバイトしたりしながら、開業計画、店舗設計、建築準備を行う。
・2005年(平成17年)2月ログキッチン「ヴァレ・ノワール」開業。

 ◆ 趣味
・釣り(磯・堤防釣り、バス釣り、ルアー釣り、フライ)
 海釣りは地元津荷の磯や堤防でアオリイカ、グレ、アジ、ガシラ等釣ってます。
 渓流釣りとして、古座川上流七川ダムから上でフライやルアーでアマゴ狙いです。
 ですが、最近お店が忙しくなかなか釣りには行けてません。
・バイク
 松山、札幌に居た時は、カワサキAR125SやホンダAX−1で良く走ってました。
 串本に来てからは殆ど乗っておらず、ごく最近手放してしまいました。
・音楽
 学生時代からジャズを聞いてました。会社員時代には全く趣味のジャズバンドをやってました。
 ですからお店でも不定期ですが、ライブもやってます。でもジャンルは特にこだわりないです。
 生音楽聴いて楽しんで貰えればうれしいですね。
 ちなみにお店のBGMはジャズやボサノバです。心地よいひとときを楽しんで下さい。
・読書、映画鑑賞、美術鑑賞
 学生時代から乱読、映画も名画館で3本だて、美術館めぐりも良くしました。が、今はだいぶ減りました。
 ◆ ログキッチン「ヴァレ・ノアール」
・〒649−4113
・和歌山県東牟婁郡串本町津荷133
・電話:0735−72−3345
・営業時間:10:00〜19:00
・定休日 :毎週水曜日、毎月第一木曜日
 ◆田舎暮らしを決めた理由 
「何故串本町か?」と言うと父の実家だからです。ちなみに母の実家は古座川町です。
20歳代、就職してから何となく「定年退職後田舎にログハウスを建てて暮らしたい。」と思う様になりました。
毎年、盆と正月には串本へ帰ってましたが、実際暮らした事がなく、「田舎暮らし」への一種の憧れがあったのだと思います。
しかし昨今、世の中不景気になり、年金もどうなるやら分からんと言う時世、
会社も数年前から早期退職希望を募り始め、私も「このまま定年まで居て、定年後果たしてやりたい事が出来るのか?」と思い、「田舎へ帰って退職金でログハウスを建てよう。そして生活するための費用を稼ぐ為、ログハウスを使った喫茶店の開業をやろう。」と結論付け、45歳の時思い切って辞めた次第です。
 ◆定住で良かった事・苦労した事
● 苦労したとこ
・ログハウスの建築について
串本町内でも結構ログハウスが建ってます。
が、ログハウスはちょっと特殊な建築方法なので、こちらの大工さんでは簡単に引き受けてくれませんでした。結局、雑誌やインターネットでログハウスメーカ(13社)に打診し、見学にも行き、何度もやり取りし、やっと三重県のメーカーに決まるのに1年近く掛かりました。結局当初の計画から半年遅れました。
・建築用地について
会社員時代、定年後のログハウスは山の中と思っていました。
が、早期退職でお店をやるとなると道路沿の方が良いと考え、国道沿いに荒らしている畑があったのでここにしようと決めました。決めた時は特に深く考えなかったのですが、後に農地に家を建てる時は「農地転用」と言って、県の許可を得て「宅地」にし、また隣接地主の同意が必要と分かったのです。
判明後さっそく手続きをしましたが、最悪手続き完了するのに1年掛かる場合もあるとの事でした。幸い今回の手続きは2ヶ月程で済み、隣接地主の同意もすんなり得られたこともあり計画の遅れは少なくて済みました。
・水道の敷設
お店をやるのに「水」は必須です。井戸だと保健所の許可が厳しいので、水道にするつもりでした。
公共の水道は当然町が敷設してくれるものと思ってましたが、個人1軒の為だけに敷設する事はないのです。
個人で工事するしかないのですが、近くに水道の栓が無く、どこから引っ張って来るか検討した結果、400mもの水道管を敷設する事になり、思ったより日数と費用が掛かりました。
・合併浄化槽の設置
新築する場合は建築基準法で建築物の用途、広さによって浄化槽の大きさが決められています。
お店、その中でも油を多く使う中華の場合は、処理能力の高い浄化槽が必要です。この浄化槽、非常に高価です。
予算の段階での見積もり額を大幅に超えました。
※新築以外、例えば自宅を改装してお店をする場合にはこの建築基準法の適用はありません。
既に設置されてるものを使って良いのです。 ちょと矛盾してますね。
・衣食
都会と違って、デザインの良い服や靴、品質や耐久性の良い品があまりありません。
ホームセンターやスーパーの品物は安いですが、やはり価格相応です。結局、気に入った物を買う場合は年に何回か都会へ行って、これぞとばかりに買うしかないです。もちろん買う商品が決まってる場合にはネットで安く購入する事は出来ますね。
食についてですが、田舎で売ってる食料品、特に串本は高い気がします。流通経路から行くと大阪から大分離れているので、経費が嵩んで高くなっているのだと思います。それに都会は商品が多く集まってくるので競争になり安くなるのでしょうね。田舎だと言うのに野菜も魚も高いです。
・時間
都会に居た時は感じなかったですが、田舎のほうが時間が経つのが早い気がします。
都会では遅くまで残業し、それから飲みに行って、電車に揺られて帰る。自宅に帰って、趣味をやったりテレビ見たり、そして風呂入って寝る。結構な時間を過ごしてた様な気がしますが、田舎は夜が早い!
20時にはほとんど寝静まっています。それで時間が短く感じられるのでしょうか?まあ、朝が早いのでその分補っているのでしょうが・・・
● 良かったこと
・ログハウス
お店を開業する前には暇を見つけては、串本近辺のログハウスの見学に行きました。
ログハウスを建てておられる方は、それなりに皆さん色々研究して建てておられるので、
見学に行くと色々と長く話し込んで、アドバイスやら田舎暮らしやらについて話してくれました。
結果、今でも田舎暮らしの良き相談相手として付き合いができております。
・薪ストー
ログハウスには薪ストーブが良く似合います。
当然私の店にも薪ストーブがあります。
石油ストーブ等と違ってとても暖ったかく、ストーブの前に居ても火が痛く感じません。
心の芯まで暖めてくれます。
暖かい南紀ですが、12月から3月までは焚きます。
燃料はもちろん薪ですが、和歌山は林業王国で、間伐材等一杯ありますので困る事はありません。
杉やヒノキの針葉樹が多いですが、たまに樫やウマベガシ等の雑木もあります。
針葉樹はヤニが多く煤も出ます、燃えるのも早くあっと言う間ですが、最近のストーブは品質・機能が充実しているので、どんどん焚いてもあまり問題ありません。薪ストーブは道具なので丁寧に使う必要はないと思います。
もちろん薪は無料で手に入りますので、都会で購入することを考えると大変助かります。
・新鮮で美味しい魚介類、安全な野菜
「串本での購入する商品は高い!」と「苦労したこと」の項で述べましたが、
購入せずに手に入る品物(都会では購入する必要がありますが。)について、
例えば、自家製野菜やご近所さんからの差し入れ、漁師さんからもらう魚貝類なぞは新鮮で最高に美味しいです。
都会で綺麗に盛り付けられた料理も良いですが、素朴な食材そのものの味を堪能するのも贅沢ではないかと思います。
道沿の所々に小さな小屋が建ってるのを見たことがありますか?
これは近所の農家や個人で野菜・果物・花等を育ててる方が、ひとつ100円程で直販している無人小屋です。
新鮮なものが大変安く、しかも安全です。
買う方にとっては大変ありがたいですね。
この様な販売方法は世界ではあり得ないそうです。店の人が居ないので勝手に持っ行ってしまいます。
日本では正直にお金を入れて行く方が殆どです。(一部お金を入れないで持ち去る人も居ますが・・)
ほんとに日本は良い国です。
・体調
サラリーマン時代と比べて、体調はすこぶる良いです。
サラリーマン時代では風邪や体調不良で仕事を休んだこともありましたが、
田舎へ帰って来てお店を始めてからは体調不良で休んだことはありません。
まあ、自分のお店なので休んだら収入が無くなるので、休まない様に自身で体調管理はしているのでしょうね。
それにストレスが無いのが何よりです。
 ◆今後串本町へ定住移住する人へのアドバイス
・医療
都会と違って医療機関が少ないし、設備の整った病院も数えるほどです。
ですから「いざ」と言う時、都会では助かるものが、田舎では間に合わないかもしれません。
私が田舎へ帰って来る時には「もし間に合わなかったら、それは運命だ。」と覚悟を決めてやってきました。
でも都会でもたらい回しとかで間に合わない時もあるかもしれません。
田舎でもドクターヘリで即時対応になるやもしれません。
これも運次第でしょうね。
・近所づきあい
田舎は「よそ者」を特別視する様な気がします。
串本は私の実家ですが、田舎で住んだことは無いので、やっぱり「よそ者」ですかね。
でもそんなの気にせず、出会う村人・人々に明るく挨拶しています。
これで今まで知らなかった人から話しかけられたり、こちらから話しかけたりと、
だんだん「地の者」になって来ている気がします。
親しくなるのに時間は掛からない様に思います。
・歳を取る
田舎は公共の交通機関も少なく、またはありません。
従って生活するには一人一台程の車は必須になります。
また農作業等をする事も多く、軽トラックを所有している方も多いです。
ですが、人間必ず歳をとります。
いつまでも運転できる訳ではないのです。
こうなった場合どうするか決めておく必要があると思います。
都会では、マンションの下にはコンビニがあり、駅も病院も近く何とかなりそうですが、田舎では色んなものが遠い!
電動自転車や電動三輪車、自転車に乗ったり、歩く事が出来る場合はちょっと遠くても自分で買い物はできます。
が、歳を取ると足腰も悪くなり、遠出もできなくなります。
移動販売があれば良いでしょうが、それも限られてます。
さて、こうなった時、便利な都会へ帰るか、それでも不便な田舎で暮らすか、急ぐ必要はありませんが、決めておいた方が良いと思います。
お金があれば、毎回タクシーを利用する事も出来ますが・・・・
 ◆その他
田舎は賃金も安いし、お店も少なくて遠い。物価も高い。
暮らすには大変不便なところだと思います。
しかし、このあまりにも便利な時代に育った私たち、「不便」を楽しむのも良いじゃないですか?
決して「不自由」じゃないです。「不便」なのです。
この「不便」を楽しんで「自由」に生きる。
考え方をちょっと変えれば、美味しい食材、水や空気までも美味しいし、綺麗な海・山・川・緑、環境は最高です。
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